スーツ地の繊維について

Topics 2023/02/23

日中は気温が二桁の日も増えてきて春の気分が高まる今日この頃ですが、同時になんだか目がかゆいような。。。
暖かくなるのは嬉しい限りなのですが、花粉症のシーズンも近づき始め、症状の有る方にとっては少し辛い時期に差し掛かって参りました。
私も早めに耳鼻科に行って今年分の薬を貰わないと。
症状をお持ちの方は共に頑張ってシーズンを乗り切りましょう。

今回は、スーツ地について、羊毛(ウール)以外の繊維のお話です。

スーツ地の原料における代表格が羊毛になります。
羊の種類や育てられた地域、はたまたどのタイミングで刈り取られた羊毛なのか。
一口に羊の毛と言っても、そのクオリティは実に多岐にわたります。

羊毛の特長として、保温性・吸湿性に優れ、衣服にした時の着心地が良いことが上げられますが、それ以上に羊毛がスーツ地の代表格となった所以はその成型性に有ります。
羊毛は形を整えたうえで熱を加え、冷却する事でその形状を保つ特性があります。
平面の生地を人体の丸みに沿わせて包み込むように成型する上で、この上ない性質を持っているのが羊毛なのです。

ですので、スーツ地のほとんどは羊毛(ウール)を原料としており、使う羊毛のクオリティや、紡ぐ糸の太さや紡ぎ方、仕上げなどの違いで様々な質感や肌触りのスーツ地が生まれるわけです。

また、スーツ地の中には羊毛に別の繊維をブレンド(混紡)することで、ウール100%では表現できない質感を生み出すことが出来ます。

蚕の繭からとれる絹(シルク)もウールに混紡する天然繊維の代表です。
繊維の断面が丸型を成している羊毛とは違い、シルク繊維の断面は不規則な三角形状をしています。
その三角形状が外からの光をウールよりも強く反射する事で、特有の艶感が生まれます。
シルク100%の服地は見惚れるほどの艶感を持ちますが、ウール程の成型力を持たず、テロンとした柔らかい風合いになります。
成型力を持った羊毛にブレンドする事で、スーツを仕立てるうえで重要な豊かなバストボリュームを表現できるのです。
またシルク特有のキラキラとした光沢感はドレスシーンやイベントシーンなどの非日常を演出したい場面で真価を発揮します。
イベント需要も回復してきた昨今、人気が集まり出している服地です。

季節が進み、気温と共に湿度も上昇し始めると、毎年人気な服地が山羊毛(モヘア)混紡服地です。

モヘアはアンゴラ山羊から採取できる繊維で、弾力とハリコシに富んだ丈夫な繊維です。
その弾力とハリコシは丁寧に成型作業を行うことで、ウール以上の成型力を誇ります。
繊維のもつハリコシは生地に織っても健在で、シャリシャリとしたドライな肌触りが高温多湿の日本の夏においてもべたつかない快適な着心地をもたらします。
モヘアブレンド服地を使用して、しっかりと成型したスーツは豊かなバストボリュームを表現し、非常に頼もしい印象です。
また、シルク同様、ウール100%では表現できない特有の鋭い艶感を持ちます。
生後1年未満のアンゴラ山羊から採取した繊細な細さのモヘア繊維は “ キッドモヘア ” と呼ばれ、モヘアにおいても最高級に位置づけられており、豊かな弾力と抜群のしなやかさを持ちます。
モヘア100%の服地は成型力、しなやかな着心地、特有の光沢感、気持ちの良いドライタッチと夏のスーツとして素晴らしい性質を持ちますが、どうしてもある程度の固さが残ったり、水や摩擦に弱い点が弱点として挙げられます。

モヘアの特長を押さえながら日常着として着用しやすくする為に、万能な性質を持つウールにブレンドするわけです。

サルトリアプロメッサ丸の内店では、ウール100%のスーツ地を中心に様々な繊維を混紡した、実に多種多様な服地を豊富に展開しております。
皆様のご用途や表現したい雰囲気、シーズンなどに合わせて最適な服地をご提案致します。
ご相談だけでも大歓迎ですので、是非皆様店頭まで足をお運びくださいませ。

皆様のご来店を心よりお待ちしております。

丸の内店 米田