交織と混紡と交撚

Topics 2023/02/24

いつも丸の内店のブログをご覧いただき誠にありがとうございます。変わりやすいお天気が続きますのでお出掛けやお帰りの際はお気を付けください。話は変わりますが、今回は少しマニアックなお話です。前回は服地の素材のお話でした。少し観点を変えて糸の部分にクローズアップします。

それぞれタイトルにある交織(こうしょく)混紡(こんぼう)交撚(こうねん)とは何なのかご紹介していきます。

洋服の品質表示をみるとウール50% ポリエステル50%やウール50% シルク40% リネン10%等記載されています。これがその洋服の素材の混ざり具合を表す混率(こんりつ)と呼びます。異なる素材を混ぜ合わせた場合に交織・混紡・交撚のいずれかの処理が成されているということになります。

実は先程ご紹介した3つの方法は表示義務はないのです。この業界で働いていてもその術を知ることは難しいです。

ではなぜ、異素材を混ぜ合わせる必要性があるのかというと、ある素材を100%用いるよりも目的に近づけることが出来る積極的な意味合いと、高価な素材を100%用いてしまうと値段が跳ね上がってしまうのを抑えるといった消極的な意味合いの2種類が主に挙げられます。

前者はモヘアを使った服地によく見られます。属に言う「モヘア混」と呼ばれるものです。こちらはほとんどが交織で出来ています。モヘアはウールと違い絡まりにくく抜けやすい特性があります。したがって、モヘアは経糸で使うことがほとんどなく緯糸に用います。経糸にはウールを使い生地を作るこのことを交織と呼びます。

混紡とは目的の生地に仕上げるために糸の段階で複数種の原料を混ぜてひとつの糸に混ぜる方法です。主にセーターなどを形成する90%ウール 10%カシミヤ等が例として挙げられます。

交撚とは種類の異なる糸を複数撚り合わせて1本の糸をつくることを指します。スーツ地では主に夏素材などの細番手の軽い素材に強度の強い糸を合せて様々な効果を与えるために用いられる方法です。

少し細かなお話になってしまいましたが、それぞれの異なる長所同士を掛け合わせることでより良い物に仕上がっていると思って頂けたら幸いです。

丸の内店 野口