裾口のお話

Topics 2022/07/07

いつも丸の内のブログをご覧頂きありがとうございます。

今日は七夕ですね。子供の頃は短冊に願い事を書いていましたが今では見かけることも少なくなりましたね。今年は久しぶりに短冊に願いを乗せるのも素敵かもしれません。

素敵繋がりで今回はスラックスの裾口にまつわる素敵なお話をご紹介します。オーダーする際必ず決めることはスラックスの裾口の仕上げになります。

我々は普段お客様にお伺いする際「裾口はシングル・ダブルどちらに致しますか?」とお聞きすることが多いです。しかしこのシングル・ダブルというのは和製英語で正式な英語では、シングルが「plain bottoms」ダブルが「cuffed bottoms」または「turn up」と呼びます。今回はご紹介し易いようにシングル・ダブルでお話させて頂きます。

こちらがダブルの仕上げになります。裾口が折り返されているものを指します。この裾口が折り返される仕様は19世紀末のイギリスの田舎からはじまったといわれています。当時は舗装された道が少なく、泥道やぬかるみを歩くこともしばしばありました。その一時的な防御策としてダブルが広まっていったとされています。そして現在もその名残を引き継いで一般化したと考えられています。

こちらがシングルの仕上げになります。通常のスーツにはダブルで仕上げることは前述の通りですがこちらのシングルはタキシード等のフォーマルウェアの仕上げになります。こちらは絶対に折り返しをつけないということになります。それは室内着であるということに他なりません。室内であれば雨が降ることもなければ、ぬかるみを歩くこともないということになります。スーツは徹底的に理論の上で成り立っているということが分かります。

ただ、現在においては好みの部分が大きくなっています。クラシカル好みの方はダブルで仕上げるのもありですし、モダン派な印象にしたい場合はシングルで攻めるのもありだと思います。お好みのデザインで素敵なスラックスをお作り頂けたらと思います。ご相談だけでもお気軽に足をお運びくださいませ。

丸の内店 野口