世間の小中学校の多くは夏休みに突入したようで、今朝出勤時、暑い中元気に走り回る小学生を見かけました。
夏の風物詩とも言える光景を目にして、始まったばかりの夏を実感します。
しかし、オーダーの世界ではそろそろ秋物について考える頃合いです。
今回は秋物スーツを選ぶうえで重要な “生地の織り方” についての投稿です。
お客様から寄せられるご要望で最も多いと言っても過言ではないのが「1年中着用可能なスーツを作りたい」というものです。
結論から申し上げますと、日本において1年中着用できる生地はございません。
日本の寒暖差、湿乾差の大きい四季は、それぞれの風情があり、世界に誇れるすばらしいものです
しかし、だからこそ1年を通して快適に着用できる服地は無いと言えます。
ですので、私どもはお客様のオーダーをご案内する際必ず着用時期を伺うわけです。
以前の投稿では春夏の着用に適した『平織り』という織り方について紹介致しました。
今回は秋冬の着用に適した『綾織り』の特徴についてご案内いたします。
生地の織組織は全て経糸(たていと)と緯糸(よこいと)の織合わせで決まります。
以前紹介した平織りは経糸、緯糸を交互にさいの目状に織り合わせた組織のことで、
・さらっとした肌触り
・通気性の良さ
・摩擦への耐性
などなど、高温多湿の夏場においても快適に活用できる組織でした。
対する「綾織り」は、下の画像のように
・経糸が緯糸よりも多く生地の表面に出ている組織
になります。
青の経糸が白の緯糸よりも多く表面に出ているのが分かるかと思います。
綾織の見た目の特徴は斜めに畝(うね)が通るように見えます。
実際の綾織生地が下の画像です。
綾織組織は特性として、
①平織に比べ生地に厚みがでる
②平織にくらべ保温性が高い
を持ち、秋冬向けの生地と言えるのです。
また、綾織組織は他にも
・艶の出方がきれい
・平織に比べ柔らかい
・平織に比べ伸縮性がある
などの特性を持ちます。
特に平織と比べた際の艶の出方は綾織の方が美しく、高級感の演出にも一役買ってくれます。
最近増えているイベント着の需要ですが、秋に着用予定のある方は是非綾織でお作り下さい。
美しい艶感が色気を演出してくれます。
また高温多湿になる日本の夏での着用は厳しいですが、 夏場湿度が低い欧州では薄手の綾織生地をオールシーズンとして展開している生地ブランドも多くございます。
平織り生地は目付ウェイトにもよりますが冬に着用してしまうと見た目に寒々しく見えてしまうためです。
当店ではただ今、秋口にちょうど良く合い物としてお使い頂ける薄手の綾織生地を豊富に展開しております。
早めに秋物の準備をお考えの方は是非当店までご相談くださいませ。
皆様のご来店お待ちしております。
丸の内店 米田