本前立てシャツ

Topics 2022/06/19

先日紹介いたしました “シャツの前立て”
今回ご紹介するのはより古典的な仕様の【本前立て】になります。

写真のように前立てが裾まで続かずに途中からスーツの上着のように前端がカーブした仕様を本前立てと呼びます。

シャツをタックインした際に裾が動きづらくなり、日常の所作により前立てがずれることを防ぐことができます。
もともとは英国の士官学校で服装の乱れを正すために考案された工夫という説がございます。
実際に着用すると、カーブした前端はスラックスの下に入り見えなくなるため、通常の表前立てシャツと何ら変わりません。
人の目には触れない仕様ですが、常にまっすぐ通った前立てが清潔感を感じさせます。
メンズドレスを装う際こういったさりげない工夫が回りと差のつく着こなしにつながります。
凝った仕様でありながら人目に付かない部分の為、既製品ではなかなかお目にかかれないのもポイントが高いですね。

さらに写真のシャツは表前立てについてもう一工夫しています。
ポイントは前立ての幅とステッチ幅です。
米国製のボタンダウンシャツなどに採用される前立て幅は38mm程度のものが多く、その幅感がスポーティな印象につながります。

写真のシャツの前立て幅は32mmと少し細目にしておりドレッシーな印象を引き立てます。
さらにもう一工夫しているのが少し内側にいれた前立てステッチです。

以前紹介の表前立ては前立ての端から少し入った両脇にステッチを入れていました。
しかし今回はフロントボタンの両脇すぐにステッチが入るようにステッチ幅を調整しています。
この仕様は英国の老舗シャツ店でも採用されている古典的な仕様です。
現在のドレスシャツの原型となる英国貴族が着用していたフリルシャツのフリルを簡略化したものとされており、前立てをより装飾的なものに昇華しています。
前立ての両端が少しだけ浮き気味になり、フリル前立てのようなどこか優雅な印象です。
写真のシャツはセミワイドカラーを採用しておりますが、ほかにもタブカラーやラウンドカラーなどの英国的な襟型と好相性です。

いかがでしょうか。
既製品ではなかなかお目にかかれない “本前立て” 。
ボトムから裾を出して着用することを想定したショート丈のご用意もございます。
本流の用途とはすこし離れますが、カジュアル用としてお作りいただくのも面白いかもしれません。
気になる方はぜひお試しくださいませ。

丸の内店 米田

※本前立て仕様はオプション料金として¥2,200(税込み)頂戴いたします。