ノッチ? or ピーク?

Topics 2019/08/20

衿の話です。

例えば、キャビンアテンダント(CA)は、機内食を提供する際に、ビーフ? or チキン?と聞いて周ります。
これに対して、私たちは、スーツのオーダーを承る際に、ノッチ? or ピーク?と言っています。
CAは食事の種類を聞いていますが、私たちは、スーツやジャケットの衿の型をお聞きしています。
ノッチドラペルかピークドラペル、スーツやジャケットをご注文の際には、必ずどちらかを選択するというわけです。
当店に限らず、スーツをオーダーする際に必ずと言っていいほど、セールススタッフから発せられる言葉です。

では、なぜ衿の型が選べるのでしょうか?なぜメニューとして存在しているのでしょうか?
単なるデザインなんでしょうか?そこには意味はなく、流行に沿って語られるディテイルなのでしょうか?

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私の見解は異なります。
ノッチドラペルは、カジュアルシーンから、ビジネス、フォーマルシーンに至るまで幅広く用いられる、いわゆる万能型の衿型です。過度に主張することなく控え目で、凛とした佇まいを演出することに長けています。
これに対しピークドラペルには、エレガントな華やかさがウリです。ノッチドラペルよりも明らかに主張するので、オンビジネスよりは、ウェディングなどのパーティーシーンや社内外でのセレモニーといった非日常を演出するのに向いています。今日のモダンなスーツスタイルでは、どちらかと言うと光沢感のあるなめらかな生地との相性がいいでしょう。
深堀してお話しすると、私は『ディテイルはどう着たいかによって決められるべき』だと考えます。
機内食はビーフかチキンかを今のご自身の体調や気分で適切に選びます。
スーツやジャケットの衿の型も同じようにチョイスされてしかるべきではないでしょうか?
お使いのTPOを考えてのディテイルのチョイス、・生地とスタイルの相性、更にはトータルコーディネイトまでご提案して、初めてテーラーのセールスとして存在意義があると私は考えます。

P.S.
近年の機内食は、『ビーフ or チキン or ベジタブル』になっているようです。
多様化でしょうか。時代は常に変化していますね。

吉澤