梅雨入りしてからというもの、通勤時などシャツ姿の方が一斉に増えてきた気がします。
ここ最近もタイドアップ、ノータイ問わずにシャツのオーダーが増えてきております。
「第二の皮膚」と呼ばれるシャツこそキチンとしたフィッティングと拘りのディテールで仕立てる事で普段のビジネススタイルがより一層格上げされます。
シャツのデザインと言えばまず最初に選ぶのが衿型かと。
お顔に近い部分であり、多彩なバリエーションが存在することからシャツの印象を決めるうえで最も重要度の高いディテールと言っても過言ではありません。
既製品のシャツ屋さんでも衿型別に陳列されている事も多く、シャツを選ぶうえで重要性がうかがえますね。
さて実はシャツの印象を決定づけるディテールとして、もう一つ重要なディテールがございます。
それがシャツの【前立て】です。
前立てとはシャツのフロント釦を付ける部分の帯状パーツの事です。
画像の前立ては “表前立て” と呼ばれるデザインで、前釦部分を補強する目的で付けられた帯状の前立てです。
英国やアメリカなどのシャツに採用されることが多く、日本では比較的スポーティな印象になるかもしれません。
しかし、表前立て自体は決してカジュアルな仕様では無い為、衿型や、胸ポケットの有無などで印象は変わります。
対して帯状パーツを排したデザインが画像の “裏前立て” です。
こちらは比較的イタリアやフランス製のシャツに採用されており、装飾を無くした非常にすっきりとしたデザインです。
比較的ドレッシーな印象ですがこちらも他のデザインとの組み合わせ次第で印象が変わります。
表前立ては元々英国の貴族階級の方が着用していたフリル付きの前立てを簡略化したモノという説もあり、実はカジュアルな仕様ではありません。
表前立て=スポーティ、カジュアルという印象は米国製のボタンダウンシャツの影響からきているかと思います。
例えば衿型にボタンダウン、胸ポケット有、背中のセンターにボックスプリーツを採用した表前立てのシャツはまさにスポーティと言った印象で、ノータイでも違和感なく、若々しい印象で着こなすことが出来ます。
対して、タブカラーやラウンドなどの英国的な衿型、胸ポケット無しの表前立てシャツは、英国紳士を想起させる折り目正しい印象になり、タイドアップする事でキリっとした緊張感を演出できます。
裏前立ても同じく、レギュラーカラーなどの襟の開きの少ないかしこまった印象の衿型に、ダブルカフスなどを採用するとフォーマルシーンで映えるドレッシーで色気のある雰囲気となります。
しかし、カッタウェイなどの襟の開きの大きいイタリア的な衿型にすると、軽快感が伴いノータイでも洒落感を演出できます。
普段なかなか気にしない “前立て” に少しだけ拘る事でより洒落たシャツをお仕立て頂けます。
「ビジネス用に折り目正しく着たい、夏に向けて軽快感が欲しい、ノータイでもきっちり見られたい」などなどご要望が有ればぜひご相談ください。
衿型や前立てをはじめとした各ディテールの最良な組み合わせをご案内いたします。
今回の投稿では前立てについて代表的な “表・裏” 2種類を紹介致しました。
サルトリアプロメッサのオーダーシャツではほかにも選べる前立て種類が御座いますので後日紹介させて頂きます。
気になる方は是非次回もご覧くださいませ。
丸の内店 米田